三陸うめちゃんコラム
三陸うめちゃんコラムvol.16 ~クマ出没、岩手が全国最多~
2025年11月18日
○クマ出没、岩手が全国最多
環境省まとめ、2025年度上半期で4499件 人的被害、生活圏7割
(岩手日報11月8日付)

https://www.iwate-np.co.jp/article/2025/11/8/188050
環境省は8日までに、2025年度上半期(4~9月)のクマ出没や被害状況を明らかにした。全国の出没件数は速報値で2万792件に上り、過去5年間の同期比で過去最多だった。人的被害はけが人を含め99件108人。発生場所を23、24年度と比較すると、特に7月以降は人の生活圏での発生件数が7割以上と高いことが分かった。
出没件数は自治体からの報告を基にまとめ、件数を公表していない北海道、生息していないとされる九州、沖縄は除いた。岩手の4499県が最も多く、秋田4005件、青森1835件、山形1291件と続いた。東北6県の出没件数が全国の約6割を占めた。
〇生活圏とクマ
クマのニュースを聞かない日はないほど今年はよく話題にのぼり、しかも決して穏やかではない情報として連日報じられています。岩手県大槌町、釜石市で暮らしている頃は、生活圏がそもそもクマの生息圏でもありました。それでも町なかに出没した際には防災無線が響き渡り、多い時では一日に5回以上も放送がありました。5月6月は子連れのクマに、10月11月は冬眠前にエサを求めて里に降りてくるクマに、それぞれ注意が必要であることを地域の方々はよく知っていました。

(宮古市江繋(旧川井村)のタイマグラにて)
写真は日本で最後に電気が通った秘境タイマグラで撮影したもの。当時私が暮らしていた大槌町の山間の仮設住宅から峠を越えた先にある地域で、ここのキャンプ場を通り越して早池峰山に向かう時によく通る場所でした。道の真ん中でじゃれ合う子クマに目を奪われてしまいますが、すぐ左の黒い塊(母クマ)を見過ごしてはいけません。

(大槌町の山道斜面にて)
成体のツキノワグマの写真(知人撮影)です。近づいて撮影などはしていません。

(愛用リュックに必携のクマ鈴)
暮らしている環境が環境だっただけに近隣の山歩きが趣味のようになっていたので、山に入る時は必ずクマ鈴をつけて、更にスマホなどで音楽をかけたり歌ったり、特にひとりで山に入る時には音を鳴らすというのは最低限意識してやってはいました。
今年のような状況では、ひとりで山に入るというのは自粛していただろうと思います。

(岩手県 - ツキノワグマによる人身被害状況・出没状況)
https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/shizen/yasei/1049881/1056087.html


岩手県ではクマの出没状況はすでに過去最多とのことで、例年では春と秋に多いイメージでしたが今年は夏も多く、更にクマのエサになるブナの大凶作の予想もあって、生活圏での警戒とともにそれが現実化して通報件数も多くなっているのだと想像しています。

秋田県のクマダスや盛岡市のクマの出没情報などを見ると、安心して出かけられる場所がないようにさえ感じられます。
クマダス
https://kumadas.net/
盛岡市 クマ出没情報
https://www.city.morioka.iwate.jp/kurashi/pet/yaseidobutsu/1001651.html
(大槌町役場LINEより)
私のスマホに11月14日~18日に届いたクマに関する情報です。私が暮らしていた当時からこうした場所への出没は決して珍しくありませんでした。地元の人からすれば滅多にないことではなく、そうした前提で行動をするという話でした。
しかし今は、出没した後に人間の姿を見て逃げるのではなく襲ってきてその被害が多く報告されているという状況ですから、私が暮らしていた当時のスタンダードや感覚ではいられない状況があるのでしょう。
そう考えながらあらためてLINEの情報を見ると、この情報だけを東京などの土地勘がない人が見ればビックリしてしまうでしょうし、心配が尽きないのは無理もないことです。

岩手県や秋田県に限らず、東京でさえ目撃情報があるぐらいですから、自分が暮らす地域の状況や上記の情報などから知識は得ておくに越したことはありません。
しかしこれも防災と同じで、知識を得たからと言って実際にその通りに動けるかはまた別の話です。しかも2、3年が経てば今のスタンダードも変わっているかもしれません。災害に備える持ち物リストにもクマ鈴やクマ除けスプレーが加わる日がくるかもしれません。
(アラスカヒグマの剥製/神奈川県立生命の星・地球科学館にて)
小田原に神奈川県立生命の星・地球科学館があります。そのエントランスにアラスカヒグマの剥製があります。体長340cm、体重400kgです。私の目線の高さ約170cmの位置から見上げた写真です。この距離で遭遇して無事でいられるのでしょうか。
その他の展示を含め地球のことや動植物のことに興味がある方にオススメです。

(岩手日報buzz Xより 熊クイズ)
https://x.com/iwatenippobuzz/status/1990147862592946180/
岩手日報の記事にこのようなものがありました。熊クイズに挑戦してみてください。
〇暮らしと防災
(大槌町山間部のマタギのお宅で)
大槌町で暮らしている時はクマは身近な存在でした。特にマタギのご夫婦に非常に良くしていただいたので、昼に夜にと、クマ肉やシカ肉をご馳走になりました。私は牛肉よりもクマやシカの肉の方を食べる機会が多かったと思います。
(クマ汁を囲んでたくさんの山の恵みをいただきました)
ただ食べるだけではなくて、山での暮らしのこと、昔から守ってきた伝統的なやり方など、口伝での郷土芸能などが盛んな地域性もあってか都会とは異なる豊かさを感じたものです。
(大槌町で食のイベントをした翌日にお宅を訪問しての記念撮影)
風景や伝統を次につないでいく人が減っていく中で、人の生活圏に多く入ってくるようになった野生動物。道沿いには栗があって川沿いにはくるみがあって人家のそばには柿があって野菜もある。今まではここのせめぎ合いだったのが、町なかには食べ残しのゴミもある。スーパーに行けば食べ残す前の新鮮な食べ物がたくさんある。

毎年その数を減らしている三陸の鮭。例年この時季は、新巻鮭の仕込み風景が広がっていました。クマが冬眠をせずにいつまでも町なかをうろつくようだと、こうした風景が被害をなくすという観点で消えてしまう恐れもあるでしょう。
人の安全はもちろんですが、生業をつないでいける環境を守っていくということは、地方の防災のあり方にもつながっているように感じました。
熊クイズの答えは全問NOでした。皆様、どうぞご安全に。
そばにいる家族を大切に。離れて暮らしている家族を大切に。
一般社団法人デイリーストックアクション 共同代表 梅沢義明
○クマ出没、岩手が全国最多
環境省まとめ、2025年度上半期で4499件 人的被害、生活圏7割
(岩手日報11月8日付)

https://www.iwate-np.co.jp/article/2025/11/8/188050
環境省は8日までに、2025年度上半期(4~9月)のクマ出没や被害状況を明らかにした。全国の出没件数は速報値で2万792件に上り、過去5年間の同期比で過去最多だった。人的被害はけが人を含め99件108人。発生場所を23、24年度と比較すると、特に7月以降は人の生活圏での発生件数が7割以上と高いことが分かった。
出没件数は自治体からの報告を基にまとめ、件数を公表していない北海道、生息していないとされる九州、沖縄は除いた。岩手の4499県が最も多く、秋田4005件、青森1835件、山形1291件と続いた。東北6県の出没件数が全国の約6割を占めた。
〇生活圏とクマ
クマのニュースを聞かない日はないほど今年はよく話題にのぼり、しかも決して穏やかではない情報として連日報じられています。岩手県大槌町、釜石市で暮らしている頃は、生活圏がそもそもクマの生息圏でもありました。それでも町なかに出没した際には防災無線が響き渡り、多い時では一日に5回以上も放送がありました。5月6月は子連れのクマに、10月11月は冬眠前にエサを求めて里に降りてくるクマに、それぞれ注意が必要であることを地域の方々はよく知っていました。

(宮古市江繋(旧川井村)のタイマグラにて)
写真は日本で最後に電気が通った秘境タイマグラで撮影したもの。当時私が暮らしていた大槌町の山間の仮設住宅から峠を越えた先にある地域で、ここのキャンプ場を通り越して早池峰山に向かう時によく通る場所でした。道の真ん中でじゃれ合う子クマに目を奪われてしまいますが、すぐ左の黒い塊(母クマ)を見過ごしてはいけません。

(大槌町の山道斜面にて)
成体のツキノワグマの写真(知人撮影)です。近づいて撮影などはしていません。

(愛用リュックに必携のクマ鈴)
暮らしている環境が環境だっただけに近隣の山歩きが趣味のようになっていたので、山に入る時は必ずクマ鈴をつけて、更にスマホなどで音楽をかけたり歌ったり、特にひとりで山に入る時には音を鳴らすというのは最低限意識してやってはいました。
今年のような状況では、ひとりで山に入るというのは自粛していただろうと思います。

(岩手県 - ツキノワグマによる人身被害状況・出没状況)
https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/shizen/yasei/1049881/1056087.html


岩手県ではクマの出没状況はすでに過去最多とのことで、例年では春と秋に多いイメージでしたが今年は夏も多く、更にクマのエサになるブナの大凶作の予想もあって、生活圏での警戒とともにそれが現実化して通報件数も多くなっているのだと想像しています。

秋田県のクマダスや盛岡市のクマの出没情報などを見ると、安心して出かけられる場所がないようにさえ感じられます。
クマダス
https://kumadas.net/
盛岡市 クマ出没情報
https://www.city.morioka.iwate.jp/kurashi/pet/yaseidobutsu/1001651.html
(大槌町役場LINEより)私のスマホに11月14日~18日に届いたクマに関する情報です。私が暮らしていた当時からこうした場所への出没は決して珍しくありませんでした。地元の人からすれば滅多にないことではなく、そうした前提で行動をするという話でした。
しかし今は、出没した後に人間の姿を見て逃げるのではなく襲ってきてその被害が多く報告されているという状況ですから、私が暮らしていた当時のスタンダードや感覚ではいられない状況があるのでしょう。
そう考えながらあらためてLINEの情報を見ると、この情報だけを東京などの土地勘がない人が見ればビックリしてしまうでしょうし、心配が尽きないのは無理もないことです。

岩手県や秋田県に限らず、東京でさえ目撃情報があるぐらいですから、自分が暮らす地域の状況や上記の情報などから知識は得ておくに越したことはありません。
しかしこれも防災と同じで、知識を得たからと言って実際にその通りに動けるかはまた別の話です。しかも2、3年が経てば今のスタンダードも変わっているかもしれません。災害に備える持ち物リストにもクマ鈴やクマ除けスプレーが加わる日がくるかもしれません。
(アラスカヒグマの剥製/神奈川県立生命の星・地球科学館にて)小田原に神奈川県立生命の星・地球科学館があります。そのエントランスにアラスカヒグマの剥製があります。体長340cm、体重400kgです。私の目線の高さ約170cmの位置から見上げた写真です。この距離で遭遇して無事でいられるのでしょうか。
その他の展示を含め地球のことや動植物のことに興味がある方にオススメです。

(岩手日報buzz Xより 熊クイズ)
https://x.com/iwatenippobuzz/status/1990147862592946180/
岩手日報の記事にこのようなものがありました。熊クイズに挑戦してみてください。
〇暮らしと防災
(大槌町山間部のマタギのお宅で)大槌町で暮らしている時はクマは身近な存在でした。特にマタギのご夫婦に非常に良くしていただいたので、昼に夜にと、クマ肉やシカ肉をご馳走になりました。私は牛肉よりもクマやシカの肉の方を食べる機会が多かったと思います。
(クマ汁を囲んでたくさんの山の恵みをいただきました)ただ食べるだけではなくて、山での暮らしのこと、昔から守ってきた伝統的なやり方など、口伝での郷土芸能などが盛んな地域性もあってか都会とは異なる豊かさを感じたものです。
(大槌町で食のイベントをした翌日にお宅を訪問しての記念撮影)風景や伝統を次につないでいく人が減っていく中で、人の生活圏に多く入ってくるようになった野生動物。道沿いには栗があって川沿いにはくるみがあって人家のそばには柿があって野菜もある。今まではここのせめぎ合いだったのが、町なかには食べ残しのゴミもある。スーパーに行けば食べ残す前の新鮮な食べ物がたくさんある。

毎年その数を減らしている三陸の鮭。例年この時季は、新巻鮭の仕込み風景が広がっていました。クマが冬眠をせずにいつまでも町なかをうろつくようだと、こうした風景が被害をなくすという観点で消えてしまう恐れもあるでしょう。
人の安全はもちろんですが、生業をつないでいける環境を守っていくということは、地方の防災のあり方にもつながっているように感じました。
熊クイズの答えは全問NOでした。皆様、どうぞご安全に。
そばにいる家族を大切に。離れて暮らしている家族を大切に。
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