三陸うめちゃんコラム
三陸うめちゃんコラムvol.21 ~大槌町林野火災(後編)~
東日本大震災後、大槌町で復興支援に従事してきた、一般社団法人デイリーストックアクション共同代表のひとり、梅沢(うめちゃん)による、地域で起きた出来事を見つめ、書き留めた記録です。
>>前編はこらから

○温かい食事、お振る舞いの文化

(小鎚地区多目的集会所の様子)
避難所が開設されると、各避難所には保健医療福祉チーム(DWAT、DMAT、こころのケアセンター、日赤、保健師、看護師等)
が常駐あるいは巡回して、避難者に寄り添った対応をしてくれます。クラウドファンディングを実施した中間支援団体はこうした方々との打合せから、避難所にお弁当と一緒に豆乳を配れないかという声を受けて、町内のドラッグストアなどで豆乳を調達し、偏りがちな避難所の栄養を補う飲料を届けてくれました。
デイリーストックアクションの成り立ちは、仮設住宅で暮らす町民の健康のために何かできないかと当時大槌町復興推進隊だった私が暮らしに身近な大豆に注目して日本ソイフードマイスター協会で学んだことがきっかけでしたので、こうした場面で常温保存可能な豆乳(注:豆乳には常温保存と要冷蔵のタイプがあります)に注目してくださるのは嬉しいですね。

(保健医療福祉チームによる避難者へのメッセージ)
また、煙に覆われた町内では換気をしたくても扉や窓が開けられないので、空気清浄機を設置したり子どもの遊び場や勉強部屋を設営をしたり、別の支援団体からは少しでも快適な環境をと寄せられた支援金をもとに迅速な対応をしたことの報告がありました。


避難所は各地区の集会場がその役割を果たしていて、普段から利用している地域の婦人部の方が避難所開設準備を担っていました。町内で暮らしていた時にお世話になった方に状況確認で連絡をしたら、避難所のお手伝いをして帰ってきたと言っていました。どこどこの避難所で豚汁が出たという話を聞けば「うちもやらねーばねぇ」と準備して温かいものを提供する。いやいや避難所だけでなく全国から応援で駆けつけてくださった消火活動にあたる皆さんにこそ温かい食事を振る舞わないでどうすると、各地域の対抗心に火がついたようにお振る舞いをする地元の方々の姿がありました。一刻も早く火は消えてほしい。その中で自分にできることをしたいという町民の心に灯がともって鎮圧に向かう一体感のような力強さを感じました。それは付け焼き刃ではないお振る舞いの文化に下支えされるこの地域の力だと感じました。


〇天の恵み、待ち望んだ雨

週が明けて、誰もが待ち望んだ雨が降りました。いつかは雨が降っただろうけれど、この雨は想いや行動が呼び寄せた雨だったのではないか。誰もがそう感じたと思います。先を見通せる恵の雨であり、消火活動にあたる方々のしばしの休息の雨であり、こんなに嬉しくて涙が出そうになった雨はありませんでした。


雨が降ってもお振る舞いを通じた交流は続きました。雨が降ったおかげで希望の光が差し込んだように感じられ、大槌町を覆っていた煙も次第に解消されていきました。


もちろん燃えてしまった山林が残されているので、ここから先の長い戦いは別であるのですが、全体的に良い方向に向かっている兆しがありました。この雨によって、4月29日に避難指示の一部解除、翌30日にはすべての避難指示が解除され、引き続き鎮圧鎮火に向けて消火活動は続きますが、日常が戻ってきました。
〇鎮圧宣言
5月1日には最後の避難所が閉鎖され、学校も再開。大槌町長から鎮圧宣言もありました。






これまで消火活動にあたってくださった方々への感謝の気持ちは、これら沿道の写真で感じていただけるのではないでしょうか。
5月9日現在、鎮火には至っていません。出火原因も以前調査中とのことで、引き続き残火処理と警戒監視が続けられています。そんな中で5月6日に新たな火災が発生してしまいました。2つの火災現場とは異なる場所のためおそらく関連性は薄く、鎮圧宣言をして消火活動をしてくださった方々に感謝を伝え見送ったばかりのタイミングに、悔しいと感じた町民も多かったことでしょう。
ひとを疑い出したらキリがありませんが、ゴールデンウィークでもあったため、お墓参りで点けた線香の火を消さずに帰ってしまったか消したつもりで帰ってしまったことが火種になることを考えると、離れた私たちの地域でも十分に起こり得ることですので、普段の自分の行動を省みる機会として、広く認識されてほしいことです。

大規模な山林火災の後ですから、今度は山の保水力が心配されます。鎮火に至っていないことをしてまとまった雨は恵の雨である一方で、新たに土砂災害の危険性に近づきます。なんとももどかしい思いです。
〇終わりに
東日本大震災、復興に向けてがんばっていた地元の方が、もうダメかなと思った時に目の前の風景を見て不思議と力がわいてきたと話していました。この町の将来を見据えて行動していた自分の信念や情熱を失いそうになった時、自分が愛する町の風景が再び自分の足で立ち上がれるほどに力を与えてくれたと。
大槌町の山林火災は、昨年の大船渡の教訓が生かされたであろうことは、一連の動きを見ても明らかだったと思います。そこに加えて、助けてもらう側も誰かの助けになることで自分を保ち、自分たちの地域を守る力になったのでしょう。大槌町だからできたことなのか大槌町ができたのだから他の地域もできるのか、それは結局自分たち次第だと感じます。
自分が暮らしていた町なので贔屓目はあるとして、それでもこのことを力に変えようと動いている方々を容易に想像できます。

おおつち新山高原ヒルクラム大会
https://otsuchihillclimb.wordpress.com/
私も過去大会に関わらせていただいたおおつち新山高原ヒルクライム大会ですが、コース区域の工事のため2年の休止期間を経てこの度5月24日(日)に開催されます。山林火災を受けて開催を心配する声も上がりましたが、実行委員会から開催のお知らせがありました。大会参加のエントリーは締め切っていますが、ウニの口開けとツツジが綺麗に咲く頃ですので、大槌町をはじめ三陸沿岸に足を運んでいただけるとありがたいです。開催当日に関しては朝から交通規制がありますので、安心安全の運営にご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。


近くにいても離れていても、それぞれの場所でできることに心を込めて。そばにいる家族を大切に。離れて暮らしている家族を大切に。
参照:大槌町 - 大槌町林野火災に関わる災害対策本部情報
https://www.town.otsuchi.iwate.jp/gyosei/docs/462425.html
一般社団法人デイリーストックアクション 共同代表 梅沢義明
>>前編はこらから

○温かい食事、お振る舞いの文化

(小鎚地区多目的集会所の様子)
避難所が開設されると、各避難所には保健医療福祉チーム(DWAT、DMAT、こころのケアセンター、日赤、保健師、看護師等)
が常駐あるいは巡回して、避難者に寄り添った対応をしてくれます。クラウドファンディングを実施した中間支援団体はこうした方々との打合せから、避難所にお弁当と一緒に豆乳を配れないかという声を受けて、町内のドラッグストアなどで豆乳を調達し、偏りがちな避難所の栄養を補う飲料を届けてくれました。
デイリーストックアクションの成り立ちは、仮設住宅で暮らす町民の健康のために何かできないかと当時大槌町復興推進隊だった私が暮らしに身近な大豆に注目して日本ソイフードマイスター協会で学んだことがきっかけでしたので、こうした場面で常温保存可能な豆乳(注:豆乳には常温保存と要冷蔵のタイプがあります)に注目してくださるのは嬉しいですね。

(保健医療福祉チームによる避難者へのメッセージ)
また、煙に覆われた町内では換気をしたくても扉や窓が開けられないので、空気清浄機を設置したり子どもの遊び場や勉強部屋を設営をしたり、別の支援団体からは少しでも快適な環境をと寄せられた支援金をもとに迅速な対応をしたことの報告がありました。


避難所は各地区の集会場がその役割を果たしていて、普段から利用している地域の婦人部の方が避難所開設準備を担っていました。町内で暮らしていた時にお世話になった方に状況確認で連絡をしたら、避難所のお手伝いをして帰ってきたと言っていました。どこどこの避難所で豚汁が出たという話を聞けば「うちもやらねーばねぇ」と準備して温かいものを提供する。いやいや避難所だけでなく全国から応援で駆けつけてくださった消火活動にあたる皆さんにこそ温かい食事を振る舞わないでどうすると、各地域の対抗心に火がついたようにお振る舞いをする地元の方々の姿がありました。一刻も早く火は消えてほしい。その中で自分にできることをしたいという町民の心に灯がともって鎮圧に向かう一体感のような力強さを感じました。それは付け焼き刃ではないお振る舞いの文化に下支えされるこの地域の力だと感じました。


〇天の恵み、待ち望んだ雨

週が明けて、誰もが待ち望んだ雨が降りました。いつかは雨が降っただろうけれど、この雨は想いや行動が呼び寄せた雨だったのではないか。誰もがそう感じたと思います。先を見通せる恵の雨であり、消火活動にあたる方々のしばしの休息の雨であり、こんなに嬉しくて涙が出そうになった雨はありませんでした。


雨が降ってもお振る舞いを通じた交流は続きました。雨が降ったおかげで希望の光が差し込んだように感じられ、大槌町を覆っていた煙も次第に解消されていきました。


もちろん燃えてしまった山林が残されているので、ここから先の長い戦いは別であるのですが、全体的に良い方向に向かっている兆しがありました。この雨によって、4月29日に避難指示の一部解除、翌30日にはすべての避難指示が解除され、引き続き鎮圧鎮火に向けて消火活動は続きますが、日常が戻ってきました。
〇鎮圧宣言
5月1日には最後の避難所が閉鎖され、学校も再開。大槌町長から鎮圧宣言もありました。






これまで消火活動にあたってくださった方々への感謝の気持ちは、これら沿道の写真で感じていただけるのではないでしょうか。
5月9日現在、鎮火には至っていません。出火原因も以前調査中とのことで、引き続き残火処理と警戒監視が続けられています。そんな中で5月6日に新たな火災が発生してしまいました。2つの火災現場とは異なる場所のためおそらく関連性は薄く、鎮圧宣言をして消火活動をしてくださった方々に感謝を伝え見送ったばかりのタイミングに、悔しいと感じた町民も多かったことでしょう。
ひとを疑い出したらキリがありませんが、ゴールデンウィークでもあったため、お墓参りで点けた線香の火を消さずに帰ってしまったか消したつもりで帰ってしまったことが火種になることを考えると、離れた私たちの地域でも十分に起こり得ることですので、普段の自分の行動を省みる機会として、広く認識されてほしいことです。

大規模な山林火災の後ですから、今度は山の保水力が心配されます。鎮火に至っていないことをしてまとまった雨は恵の雨である一方で、新たに土砂災害の危険性に近づきます。なんとももどかしい思いです。
〇終わりに
東日本大震災、復興に向けてがんばっていた地元の方が、もうダメかなと思った時に目の前の風景を見て不思議と力がわいてきたと話していました。この町の将来を見据えて行動していた自分の信念や情熱を失いそうになった時、自分が愛する町の風景が再び自分の足で立ち上がれるほどに力を与えてくれたと。
大槌町の山林火災は、昨年の大船渡の教訓が生かされたであろうことは、一連の動きを見ても明らかだったと思います。そこに加えて、助けてもらう側も誰かの助けになることで自分を保ち、自分たちの地域を守る力になったのでしょう。大槌町だからできたことなのか大槌町ができたのだから他の地域もできるのか、それは結局自分たち次第だと感じます。
自分が暮らしていた町なので贔屓目はあるとして、それでもこのことを力に変えようと動いている方々を容易に想像できます。

おおつち新山高原ヒルクラム大会
https://otsuchihillclimb.wordpress.com/
私も過去大会に関わらせていただいたおおつち新山高原ヒルクライム大会ですが、コース区域の工事のため2年の休止期間を経てこの度5月24日(日)に開催されます。山林火災を受けて開催を心配する声も上がりましたが、実行委員会から開催のお知らせがありました。大会参加のエントリーは締め切っていますが、ウニの口開けとツツジが綺麗に咲く頃ですので、大槌町をはじめ三陸沿岸に足を運んでいただけるとありがたいです。開催当日に関しては朝から交通規制がありますので、安心安全の運営にご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。


近くにいても離れていても、それぞれの場所でできることに心を込めて。そばにいる家族を大切に。離れて暮らしている家族を大切に。
参照:大槌町 - 大槌町林野火災に関わる災害対策本部情報
https://www.town.otsuchi.iwate.jp/gyosei/docs/462425.html
一般社団法人デイリーストックアクション 共同代表 梅沢義明
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